偶然受けた子宮頸がん検診で早期発見。円錐切除後に妊娠出産
磯井 亜樹さんは、今春に小学生になるお子さんがいらっしゃるワーキングマザーです。 独身だった34歳の時にたまたま検査を受けて子宮頸がんが発覚。その年に円錐切除の手術を受けられたそうです。仕事にはすぐに復帰され、5年後には結婚。その翌年に自然分娩でお子様をご出産されています。
デイジープロジェクトインタビュー第一回目では、そんな亜樹さんが体験されたことを伺いました。
34歳で子宮頸がんが発覚。たまたま産婦人科で検査して…
20代の頃は”子宮頸がん”という言葉すら頭になく、もちろん検診を受診したことはありませんでした。34歳の時、不正出血があったので職場近くの産婦人科で受診した際に、お医者さんにせっかくだからと進められて子宮頸がんの検査を受けました。
不正出血の原因は膣炎だったのですが、その一か月後、職場に「頸がんの疑いがあるので早急に受診してほしい」と連絡がありました。まさか自分が…と、頭が真っ白になり、泣きそうになりながら病院に駆けつけたことを覚えています。
検査の結果は、高度異形成(※1)でした。国立がん研究センター中央病院にて月に1度検査を受け経過観察することになりました。
この時期は先が見えず一番気分が落ち込んでいた時期だったかもしれません。一方で、職場では、自分が子宮頸がんであることが発覚した時に同僚の女性に伝えて、検診に行くことをすすめました。また、お話してみると周りにも子宮頸がんの経験があるいう方が思いのほか多く、身近な病気であるということを、改めて実感しました。
※1:高度異形成とは
子宮頸がんの原因は「ヒトパピローマウイルス(HPV)」に感染した細胞が進行し「前がん状態」になること。ここから10〜30%の確率でがん細胞になります。詳細はこちらのページをご覧ください。
経過を観察はじめてから3ヶ月後。円錐切除による手術が決定
高度異形成と診断され、経過を観察し始めてから3ヶ月後に子宮頸がんであると診断され、円錐切除(※2)の手術を受けることになりました。
この時は生まれて初めて「生きるか」「死ぬか」を意識し、躊躇なく手術することを決意。将来的な妊娠出産については気が回りませんでした。
手術後の経過はとても良好でしたが、やや多めに出血することがあり、あわてて病院にかけつけたこともありました。数ヶ月は生理時の出血が多く感じられる時もありましたが、じきに日生活に戻り、がんセンターへの通院は手術を受けてから3年ぐらいで終了。徐々に病気だったことを思い出す機会が少なくなりました。
※2:円錐切除とは
子宮機能を温存し治療をする」ことを目的とし、子宮頸部をレーザーメスや超音波メスにより円錐状に切除します。詳細はこちらのページをご覧ください。
手術を行ってから5年後に結婚。翌年に自然分娩で出産
円錐切除の手術を受けてから6年後に結婚し、半年で妊娠しました。妊娠中は特段トラブルなく過ごしたのですが、円錐手術を受けた経緯から、頚管長が短くなったらシロッカー手術になるとの説明がありました。
私は、シロッカー手術は行わずに予定日を迎え、4時間半で自然分娩。産後も母子ともにトラブルはありませんでした。
※シロッカー手術について
子宮頸管を縛って結び、子宮口が開いて流早産にならないように予防するための手術。
かかりつけの病院の存在の大切さに気づく
私の場合、子宮頸がんが発覚し、手術を受けた後も痛みなどのつらい症状はほとんどありませんでしたが、気持ちの部分ではやはり不安がありました。特に、手術が決まるまでの期間は不安が大きかったです。そんな時、心の支えとなったのが地元の個人病院の先生の言葉です。
私はがんセンターで受診した後に個人病院の方にも伺ったのですが、「早い段階でわかって、手術の準備がきちんとできてよかったね。安心していいですよ」とお話いただけて、病気の説明だけではなくて、心の中に自分の病気を落とし込むことができる言葉をかけていただけたことが、当時とても励みになりました。
女性の身体は年齢により大きく変化し繊細なものです。さまざまなステージを見守ってくれる、そんなかかりつけの病院の存在がとても大切だということを、この時初めて知りました。
20代〜30代の若い女性の皆様へ
子宮頸がんが自分にとっては遠い存在で、検査に行くのが億劫という気持ちはよくわかりますが、私にように思いがけず自分が当事者となるケースがあることも事実です。
子宮頸がんは他のがんと異なり、がんになる前のステージでの発見が可能です。早期発見できれば日帰り手術も可能ですし、心身や経済面の負担も少なくてすみます。
そして何よりも、検診を受けることでがあなたの大切な命、そして妊娠・出産という女性にとっての貴重なライフイベントを守ってくれます。受診することを悩んでいる方、ぜひ一歩を踏み出してください。
インタビュー日:2017年1月22日(日)